Dark night of the soul Secret path to the Light

『美しい国』
2015-10-13 Tue 01:32

ながいながいいくさが、負け戦に終わったあと、
星まみれの故郷にもどって、農業をはじめたひとりの女詩人が、
『美しい国』への理想を、声も高らかに歌いあげました。

どうか人々の心に、この詩が届きますように。


美しい国


はばかることなくよい思念(おもい)を、
私らは語ってよいのですって。
美しいものを美しいと、
私らはほめてよいのですって。
失ったものへの悲しみを、
心のままに涙に流してよいのですって。

敵とよぶものはなくなりました。
醜(しゅう)とよんだものも友でした。
私らは語りましょう語りましょう、手をとりあって
そして、よい事で心をみたしましょう。

ああ長い長い凍えでした。
涙も外には出ませんでした。
心をだんだん暖めましょう。
夕ぐれて星が一つずつみつかるように、
感謝と云う言葉さえ
いまやっとみつけました。

私をすなおにするために、
あなたのやさしいほほえみが要り、
あなたのためには私のが。

ああ夜ふけて、空がだんだんにぎやかになるように、
瞳はしずかにかがやきあいましょう。
よい想いで空をみたしましょう。
心のうちにきらめく星座をもちましょう。



永瀬清子(1906~1995) 
詩集「美しい国」<1947~1948>より


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NASA; ESA; HUBBLE HERITAGE TEAM, STSCI/AURA



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